28話にしてやっと多少まともに話が動き出すって…


○響鬼 28話まで(相変わらず批判ばっかり…)
剣は確かに前半はうろうろしてたりネタだったりしてたけど、そうはいってもちゃんと伏線を張りまくってたし、人間関係も描き出してた。
だからこそ、後半のメインライター交代の際にその伏線を活かした作品展開ができたわけで。
前半にいかに重きを置くか、それは後半の物語の展開を決める一つの指標だと思う。

最初に言っておく!!
私は「響鬼」という作品が駄目だと言ってるわけじゃない。
脚本・構成が壊滅的に物語として成立していないことに腹を立てているのだ。

響鬼の28話までというのは、ほぼ通常の仮面ライダーシリーズの1クール目相当でしかない。正直5話目ぐらいなものである。
28話に至り、やっとヒビキから「明日夢を弟子のようなものだと感じている」ことや、鬼をあきらめざるを得なかった青年と明日夢の交流、敵組織の全容が描かれているが、これは本来もっと前半にやるべきことであった。
正直、28話までの明日夢パートはほぼ必要性がない。ヒビキパートも微妙であるが。
必要なのは、ヒビキとの出会いとたちばなの描写(一部)、猛士・鬼たちとの交流ぐらいなもんである。
それ以外の明日夢パートは、明日夢が鬼を目指すでもなく、猛士でもなく、普通の高校生である限りは「響鬼」という作品に必要性がないパートなのだ。
特に、各登場人物から明日夢という存在が好意的に評価されている点はごく普通の流れであれば問題のない表現だが、視聴者に対してあまりにも説得力に欠けすぎている。
一言でいえば、明日夢にも、明日夢の周りの環境にも「リアリティ」が感じられないのだ。
「いい目をしている」や「感覚が会う」といった表現で評価される明日夢だが、その言葉は作中で浮いており、実を伴っていない空論に聞こえてしまう。
行動で示すべき期待を言葉のみで表現してしまうことで、リアリティは逃げてしまっている。
一高校生としても「立派」の部類には入らず、かといって特筆すべき努力等も感じられない描き方で、「特殊な環境下の大人たちが評価する少年」に納得を求める方が難しい。
むしろ、万引きのエピソードでも感じるようにセンシティブで気弱、いざというときに行動できない、アルバイト先でのアキラを残して地下にいくなど自分勝手という印象が強く残ってしまう。このあたりは、セリフ一つでだいぶ印象が変わるのだが、それすら見受けられない。
本来、悪印象を持たれうるエピソードを上回る好印象のエピソード(たとえば、万引きをひとみとともに見てしまい、後日襲われそうになるひとみを独力で助け出す、等)で補強すべきだが、その部分が根本的に抜け落ちているのが明日夢パートなのである。
補強材であるお師匠さんの手を握るエピソードはあまりに弱い。
アバンでの「変わってきた」という明日夢自身の評価がまったく作中(視聴者側)に反映されず、「鍛えている」という言葉も空回りしており、ちぐはぐな感じを受け続けるのも悪印象の一因か。
特に、ヒビキの明日夢に対する想いは比較的具体性を持って描かれている(お見舞い、山登りへの誘いなど)割に、明日夢のヒビキへの想いは具体性を持っていない。
響鬼のフォローは各所ではいるものの、結局本人は何がしたいのか、何をすべきなのかが伝わってこず、結果「実質主人公なのに不要」という図式が出来上がってしまった。
結果、28話という2クール消費後も明日夢という存在が宙に浮いたまま、人間関係の根底が1話の状態と変わらない、というとてつもない失敗を犯してしまった。
1話から28話の間に、
・ヒビキは弟子をとっていない。明日夢と知り合った。
・トドロキは鬼になったが、サポートはザンキである
・イブキはアキラとともに戦っているが、初登場時と環境はほぼ変わらない
・明日夢は一般的学生である
という、互いの交流は発生したものの、根本的なポジションの変化がない状態である。
ここに「明日夢がヒビキの弟子になる」という変化を加えるだけで、人間関係は一気に変化し、物語も深みと加速を見せたはずである。
28話までの響鬼は、あまりに物語としてのんびりしすぎており、一話一話が独立しているといわれてもさほど気にかからないほど、互いの話が関係し合っていない。
物語全体としての骨子が抜け落ちてしまっているが故に、バラバラすぎる物語となっている。
本来、骨子は「明日夢の成長と師匠たるヒビキ」であったはずだが…
それは、明日夢がヒビキに対し「鬼になる気はないだろ?」という問いかけに、さほど逡巡もなく「YES」と答えた時点で崩壊したのかもしれない。

結局、高寺Pの最終話構想としては
・最終回を迎える際、明日夢はヒビキへの弟子入りを決め、鬼への第一歩を踏み出す
というものであったのかもしれない。
それはそれでアリだろうが、おそらく視聴者の求めているものは「鬼になるために作中で努力し成長する明日夢の姿」であって、それまでの決意の過程を見せられたところで勝手にやってろって話なのだ。
一年かけて「ヒーローになります!」って決意するヒーローものの主人公がどこにいるというのか。もう終わるって、作品!
「響鬼」は、ヒビキという鬼に憧れる少年とその成長、その少年を育てるさなか、悩みや衝突を通じてさらに人間として成長するヒビキの物語であってほしかった。
明日夢が鬼になるのは最終回だけでいい。
それまでの彼の成長が見れたなら、それで一年通してみてきたかいがあるというものなのに・・・
最も視聴者よりの存在でありながら、視聴者から突き放された立場に立たされた明日夢という存在は、実に「響鬼」という作品の問題点を浮き彫りにしたものだろう。

魔化魍も大・中・小と取り揃えて、人間大[分裂なし]→人間大[分裂あり]→大型を、6・3・1ぐらいの比率で取り込んでいけば全然違ったと思うんだけどなぁ…
童子と姫の描写は悪くないのに…敵もフルボッコすぎて緊迫感があんまりないしね。中ボス(ウェザー・伊坂 相当)ってのがいないからかな。
つーか敵方の存在がざっくりしすぎだろ。今から説明するにはバレ遅いし。
敵にも魅力がないと、ライダーってのは輝けない。しみじみ思う。


ともかくP交代劇までに思ったことはぶちまけておきました。
まあともかく物語としては酷いの一言かもしれない。
ライダーとしては割と好きだけど、話は延々ディケイド最終回を見せられている気分だ。なぜこうなった…
もういっそ明日夢いらねーヒビキさんだけでいいわーとかなる。
ともかく明日夢の描写はちょっとした悪意すら感じるわ…もっと平均より上として描いてやってくれよ…

30話からは別物です。