終わった…シャンゼリオンが…
この喪失感、言い表しようがない…

様々な作品の最終回を見てきた私だが、こんな風に喪失感の大きい作品は珍しい。
それはきっと、今まで見てきた38話を公式で否定されてしまうという、あまりにも悲しい事実から目を背けたいからなのだろう…
視聴者にとっても、キャラクターにとってもあまりも辛すぎるエンディング。
でも、そんな最後でも一筋の光が見いだせるような気がしました。

シャンゼリオン、面白かった!

<続く>
・第37話「嵐の前のバケタケ」
本当に秘書がいないとろくでなしな曉wあの家事が苦手なるいですら必要だったんだなぁw
速水が突然天道みたいになってワロタw
「おじいちゃんが言っていた…(以下略)」w
そのうえその後のラッキーだらけな展開は、のちのディケイドの『ネガの世界』に反映されるというw
無茶苦茶な展開からの急転直下は井上のお家芸だねぇ…
雨と鞭を使い分ける黒岩は策士だな。まず最大の敵を無効化するあたり、やり手である。

黒岩の一件は教育の恐ろしさを感じる…
洗脳なんて、世論の操作なんて、やり方さえ工夫すれば簡単に出来る。
流石に東京都独立は無茶苦茶過ぎるけど、ある意味権力者の持つ可能性をあまりに表現し過ぎていて怖気が立つ。
黒岩の写真が社会主義国とか帝国主義な象徴として、いい味を出していたな。
最初は懐疑的だった少年ですらいつの間にか染まっているという描写は、細かいけども説得力のある描写だった…
教育って怖い。

シャンゼリオンで世界一周wwwなぜ変身したwwwww
戻ってきた曉に「一回り大きくなった」→「ちょっと太ったわね」というやり取りが面白かったw
ここからともかく曉は酒池肉林で囲い込まれるわけだけど、子供向け番組でバニーガールに野球拳…飲んだくれっぱなしだし、もうやりたい放題www
一方の黒岩だって東京都独立宣言なんて無茶苦茶をやらかすわけだし、両者イーブンなのかもしれないがw
しかしホットケーキネタは訳分からんw

エリがハンドバックに梅干しの壺を入れててワロタwなぜそれをw
ザ・ブレイダーの戦闘シーンはなかなか凝ってたな!走るトラックの上でのアクションは観ててハラハラ度が増すw
しかし、こんな危機でもゴキブリ退治を優先するあたりが、そつないブレイダー描写だ。

ラストシーンはまさかの檻の中!急展開過ぎてついていけねぇ!!
予告でも曉が「クライマックス!」って言ってたけど、クライマックスがまさか2度続くとは…w
今回、次回の話で凄いのは、荒唐無稽なのにリアリティがあるというところ。
実際にやらかすんじゃないのかな、とか、実際に起こってしまうんじゃないかなというリアリティに満ち溢れてて、いろいろ細かい疑問をふっとばしてくれる。
封鎖される東京都に衝撃を覚えた視聴当時(十数年前)
やはり年数がたってから見ても衝撃的でした。

・第38話「皇帝の握ったもの」
黒岩が本当に欲しかったものは、エリというだけじゃなく、もっとその先の種族を超えた何かだったのだろうか…
闇に生まれ、闇に生きるべき存在としてしか生きられない自分に感じていた閉塞感。
それを打破するために、黒岩は光を浴びようとした。
人として生き、人として人を愛することを決めた。
しかし、それは黒岩が黒岩である限り許されないことだった。
だからこそ、黒岩は己の闇で世界を覆おうとしたのかもしれない。
だが、その闇は彼が生み出したより深い闇によって破られる。
黒岩はどこかでそうなることを期待していた…というよりは、どこまで行っても光を捨てきれなかったせいで死ぬことになったのかもしれないな…
黒岩の不幸は、ダークザイドでありながら人として生きようとした、その時点から始まっていたように思う。
不器用な生き方だった…

Aパートの内容の盛り込み方が半端じゃないwけど理解できる不思議。
ヒーローの「首を絞めてやるからな!」「明日はお前の葬式だ」っていう斬新な台詞ワロタw
曉がファンクラブの女子高生には引っかかったのに、熟女の秘書には引っかからなかった理由って、反省というよりただの守備範囲の問題なんじゃ…w
それとも、流石に若い女に囲まれ過ぎて食傷気味だったのか?w
黒岩とはライバルとして戦ってきた曉だったけど、曉が黒岩の最期を知ることはあったんだろうか…?
そういう意味でも、掟破りなオチの付け方だったよね。でも、だからこそいいんだけど。

父を失った少年の姿に、一瞬戸惑う黒岩が本当の黒岩なんだろうな…
「その…子供の心が弱いだけだ」というシーンの黒岩の演技は、黒岩の複雑な心を表現しきっていてすごく良かった。
冷徹になり切れない、それが故に自らの命を落としてしまう、そういう甘さを持っているから黒岩は魅力のあるキャラなんだろうな…
エリが去っていくのを見送ったのも、自分のそういう甘さと決別しようという黒岩なりの決意にも見えたのだが…

結果、黒岩は自らが指揮し殺した人間たちの子供に殺されるという衝撃の結末を迎える。
目の前に幸せが待っているのに、自らの甘さが招いた悲劇の犠牲になる姿は、『龍騎』で描かれたインペラーのオチとパターンは同じなんだよな。
目の前にある幸せが大きければ大きいほど、死に方が悲惨であれば悲惨であるほど、その死は際立つ。
子供たちの敵意を一身に受けた黒岩は、何を思い笑顔を見せたのだろう…
ダークザイドとしての己を、種族を越えて憎む子供の想いが嬉しかったか。
人間の可能性を見出して、ダークザイドが滅ぶ現実を受け入れることができたからなのか。
人間に慣れない自分の生を、やっと断ち切ることができる幸せを感じていたのか。
満足げなその笑顔の理由は、きっと一言では言い表せない。
最期の最期、彼が掴んだ胸のハンカチは、永遠に得られない幸せの象徴だったのだろうか…

作られたキャラクターのはずなのに、永遠に答えの出ない最期を迎えた黒岩。
彼の死は、私の心に深く刻まれることだろう…


・第39話「時(いま)を越えて…」
視聴した当時、本当に衝撃的すぎてパニくっていたのを思い出しました。
夢オチなんてありえない!と思いながらもなぜか納得してしまい、38話の衝撃とはまた違った衝撃を心に植え付けて去って行ったシャンゼリオン。
ジャンプでいう「俺たちの戦いはこれだから!」の絶望的状況版にもかかわらず面白さが心に残っているというのは、やはり暁のラスト「燦然」に一筋の光を見いだせたからなのかもしれません。

夢の暁の世界はまさかのフルメンバー!
SAIDOCはもちろん、まさか霧子ちゃんまで出てくるとはw
こういうところでフォローされてなかった部分をきちんとフォローするから井上は憎めない。フォーゼの最終回も見習ってほしかった部分。(鬼島さんとかサソリ先生とか)
まさかの誘拐犯、銀行員、そして朱美が登場しての1話の再現…
終わりとしてはこれ以上ない終わり方だったねえ。
ただ、もう一つの世界とのギャップが激しすぎて笑うに笑えない。
暁がいつも通り過ぎればいつも通り過ぎるほど、視聴者は悲しくなってしまうんだよ…

「夢の世界に行けたらいいのにな…」そう呟く暁と、「夢の世界が現実なんて嫌だ」と呟く暁。
二人が同じく思っているのは、ダークザイドに支配された地球を嫌だと思っている点か。
それをつなぐのが1話に出てきた犬というのが良かった。
現実がSAIDOC所属の暁だとすると、犬っていうのはそれまで暁の世界に存在しないものだったんだよね。
でも、夢で見ていた犬がSAIDOC所属の暁の世界に介入してきた。
「また会えるさ…きっとな」そう言って犬を見送る暁は、多分、夢の世界と同じような平和な世界をいつか取り戻せると信じていたのだろう。
リアルと夢とが混ざり合う、その起点が犬だったんじゃないかな…

バッタバッタと人が死に、仲間の裏切りという衝撃。
現実は厳しく、戦況は目に見えて悪い。そして唯一の友人と言える速水の死…
現実の暁の世界の悲惨さは筆舌に尽くし難い。
でも、そんな中でも曉は諦めない。
爆炎の中「燦然」と叫んだ曉。
彼が掴んだものが勝利であったことを祈るばかりである。

ようつべコメにあった、エンディングはあのあとたった一人で勝利した曉が佇んでいるシーン…というのを読んで、そうだったらいいなと思った。
でも、それでも失ったものは帰らない。
そういう寂しさがあると思うと、「微笑みの旅立ち」がより一層悲壮な速水と曉への歌に聞こえてくるから不思議だ。

夢と現実、リアルとフィクション、「夢」を介して交互に展開されるその世界は真逆で、一体どちらが真実なのか。
視聴者をも巻き込んだ「異常」ともいえるこの事態だが、それでもこの物語の終わりにふさわしいような気がしてしまうのは私だけだろうか。
荒唐無稽で無茶苦茶な涼村暁の物語…
それはあまりに辛い現実からの逃亡劇だったといわれれば、なぜか納得がいく。
打ち切りという事情はもちろんあるものの、不思議とこの最終回を見た後に「もう一度見たい」と思わせるものが暁の物語にはあった。
それは誰しもが願う明るく楽しい夢の世界だったからなのか…
孤独に絶望と戦う、男の夢を垣間見ることが出来るからなのか…
これまで見続けてきた視聴者への裏切りと言われればそれまでかも知れない「夢オチ」だが、最大限配慮のある展開だったように思う。
だって、どちらの世界の暁も、ヒーローであることに変わりはないのだから…


色んな意味で問題作だったシャンゼリオンですが、見返してもやっぱり面白かったです。
キャラクターの設定は無茶苦茶だし革新的なのに、根底に流れているテーマがきちんとヒーローしてるからなのかな…?
サイテー野郎なのに嫌悪感を突き抜けていくこの展開、忘れられないw
ちゃらんぽらんな曉たちの無茶苦茶な生活を、いつまでも応援したくなる不思議な話でした。

いつかまた、会えることを夢見て…