最終回の特別編は「仮面ライダーゴースト 第0話」として視聴するため、早いですが総括をしました。
一年間見続けた結果としての総括です。
内容は後半の展開メインとなっていますが、ご了承ください。

<続く>
・総評
面白くないわけではないが、素直に面白いとは言えない作品でした。
シーンごとに見るととてもいいシーンがありましたし、感動できるシーンもたくさんありました。でもそこに至る経緯を描けていない作品でした。
表面的に見れば、いい作品だったと感じる人がいることも確かな作品だと思います。
後半に行くにつれ粗が目立つ構成や主人公の異様な持ち上げ、死に設定・捨て設定の多さ、唐突な新情報の乱発、疑問を感じる倫理観など、ちょっとした説明で解消できる疑問を解消せず、思い描いた結末につなげるためだけの経緯を見せられたような気がしました。
仮面ライダーとして、刑事ドラマとして、ヒーローものとして、どこかすぐれていた点があったかといわれると、正直無かったです。
前半の流れに期待していた分、後半の流れは残念でした。
一言でいうと、雰囲気は良かったけど中身がない作品だったと思います。

<良かったところ>
車をモチーフにして新機軸を作ろうとしたところ、子供へ訴求しやすい車というアイテムを使ったことは良かったですね。
ライダーを3人体制にし、敵から仲間になる存在を配したり、主人公が刑事で、刑事ドラマの仕組みを取り入れるという新しい取り組みも悪くはありませんでした。
全体的に、モチーフやテーマなどのお膳立ては期待値が上がるものだったと思います。
序盤~中盤までは、個人的には可もなく不可もなくといった感じの二話完結方式だったので、安定して見られました。ややパンチの弱い話などもありましたが、明かされない謎も多く期待値でプラス判定でした(後半それを消化しないことでマイナスに転じますが)
販促面でシフトカー大杉&ポッと出問題は抱えつつも、チェイサーがプロトだというあたりは結構楽しく見ていましたね。
ロイミュードを否定する剛と元プロトだったチェイスの反発に期待を寄せていたのだと思います。
あのころはハートがラスボスと信じて疑いませんでしたし、物語への期待感はありました。
ブレンとチェイスのキャラは好きでした。いじられすぎなブレンには問題もあったと思いますが、笑いを添えてくれたという点で私は良かったと思います。
チェイスは色々な要素を抱えていて、可能性を感じるキャラクターでした。カッコよかったし、真面目さが笑いを誘うところも良かったです。
剛の明るさも新しい予感を感じさせてくれて期待できました。マッハの世界観にそぐわない(?)派手な名乗りは、実にキャッチーでいいネタだと思いました。
ハートも前半の大物感がある雰囲気は良かったです。「友達」と仲間を表する姿も面白味がありました。

それを上手く活かせていたかどうか、というと別問題ですが…


<私が問題点としているところ>
・主人公が主人公として機能していないこと
・進ノ介が刑事という職業でありながら、私情を優先する判断をすること
・刑事という設定が死に設定と化していること
・キャラクターの行動に起承転結がなく、行動が理解できないこと
・ロイミュードに対する異常なまでの保護
・罪を犯したロイミュードが無罪と言わんばかりの最終回
・唐突な展開、ご都合主義、死に設定の乱発
・バックボーンや経緯の説明不足
・テーマの不存在

<前半と後半>
面白かった回だと072回が印象深いです。そこがピークでした。
それ以外はあまり記憶にないのですが、チェイスと霧子絡み(前半)は見ていて楽しかったです。後半はチェイスのこと空気扱いでしたけど…
剛の明るさも初登場の派手さも、無駄にノリノリな口上も好きだった分、後半の扱いは気の毒でなりませんでした。
「前半面白いけど後半はダメ」「後半は面白いけど前半はダメ」という両極端な意見があるというコメントをいただきましたが、思うに「前半面白い派」(私)は、「後半への期待感を込めて前半を評価したが、後半の展開でその期待を裏切られたために低評価」なのではないかと思います。
「後半は面白い派」は「本筋での大きな動きがない前半は退屈だったが、後半の連続した大きな動きに見ごたえを感じた」ということかなと思いました。
前半の積み重ねをあまり気にしなければ、後半は結構楽しめるのでは?と感じる部分もあります。

<テーマ>
結局、ドライブのテーマとはなんだったのでしょうか?
最終局面で、進ノ介は「人間が悪い。だから悪意に中てられたロイミュードは悪くない」と判断しました。
さらに仁良や各犯人などの存在を考えると、ドライブのテーマは「人間=悪」ということだったんですかね。
それに対比される「希望(=正義を全うする刑事)」が進ノ介なのかと思いましたが、進ノ介自身も「人間=悪」を認めてしまいます。
その「悪」に対して、人間が何をすべきか、何の対策も提示されませんでした。
「人間が悪」という内容の場合、セオリーとしては「人間は悪い。だがその過ちを正すことができる」と人間の存在を肯定する結末があります。
私はそれをわかりやすく提示するために、法を守る「刑事」という職業を選んだのかと思いました。
しかしドライブでは、最終的に人間に対する肯定は見られませんでした。
これは前作・鎧武でいうところの「希望は病原菌」と同じ内容なのでは?と疑問に感じます。
前作も人が持つ可能性を否定し続けた節があり、本来ライダーが描くべき「希望」がないがしろにされていたのが好きではありませんでした。
私はヒーローものには「人間そのものの可能性を信じさせる力」というのを期待しています。
ドライブは最終回の結論で、その可能性を感じさせることなく終わりました。
倫理観、テーマ(?)といい、本質的には鎧武の描いていたこととさほど違いがなかったように思います。
進ノ介が悪を裁いて市民を守るならわかりますが、彼は自らその悪をほう助していましたからね…ハートたちの罪も有耶無耶でしたし。
実際、何がテーマだったのかはいまだによくわからないのですが…

<キャラクター>
物語の都合道理に動くキャラクターばかりで、実を伴っていないキャラばかりでした。
キャラクター自身が考えて行動する、またバックボーンをきちんと設定しておく、という大前提を放棄していたため、後半は筋が通らない行動を各々が取り出す、または行動が無に帰すというカオスな状態になっていました。
前半~中盤はまだよかったんですけど、後半は…回収の仕方が悪かったのかなと思います。
一例をあげると

・GFで被害を受けた同僚や市民がいるにもかかわらず、仲間愛があると判断したロイミュードを急に庇いだしたうえ、ロイミュードに無罪を言い渡す。一方で特定のロイミュード以外は問答無用で破壊する。
・父親のことを嫌っていたのに、なぜかいきなり信じだし、当然のように裏切られてショックを受ける。
・自分の父親が大悪人だと今まで隠されていた事実を知ったのに、一言で受け流す。
・友達思いなのに、友達がライダーに殺されても何もしない。ライダーの正体を探ろうとした仲間に対し、「無粋」の一言で片づけて何もしない。しかし友達思いの情に厚いキャラとして扱われる。
・熱を上げていたロイミュードが仲間になったとたん一切の関心を無くすどころか、「同情」の一言で片づけられる関係性として描かれる。

という感じでした。
キャラクターは彼らの思考回路が「起承転結」の一本になっていて初めて理解できると思うんですが、ドライブのキャラは「起(転)結」のスタイルが多く、なぜそうなったかが理解できないことが多かったです。
台詞で「○○は××だから~」という説明は、説得力のある説明とはならないのですが、それは多用されていたような気がします。
もちろん描かない部分があってもいいですが、それをフォローする設定や理由が納得いく形で提示されなかったことも、理解が進まなかった原因ではないでしょうか。

<ストーリー>
中盤までは時々おかしな話もあったけど許容範囲でした。
001編からの展開と、後半の蛮野の登場の唐突さがいただけませんでした。
もっと蛮野の存在を当初から押し出し、進ノ介の父の存在を押し出していった方が良かったです。
そうすれば001、仁良、蛮野の存在も多少は唐突感が薄れたと思います。
序盤から蛮野の存在を提示しなかったのは、「ロイミュードは人間と対立する誇り高き敵」だった予定が「ロイミュードは被害者」に変更されたためなのか?と疑問に思うレベルでした。
そもそも論として「ロイミュードが被害者」であれば、蛮野の存在をもう少しにおわせておいても良かったのでは?と思います(セリフではけっこう初期から出てたけど)
ウィザードでいうところのワイズマン的な存在として、蛮野の存在を匂わせる…としたら、ハートたちにも情状酌量の余地が存在したのではないでしょうか。
もしくは、蛮野自身はいい人だったけど、データ転送時に悪意だけ転送されて、ロイミュードを操る存在になったとか…普通すぎますかね。でもその位オーソドックスでもよかったです。サブライダーがらみの展開なんだし。

<不要だった要素>
・刑事もの
・蛮野との親子設定(特に霧子)
この二つは完全に不要でした。
まず刑事という職業が主人公の足を引っ張っていました。
刑事ならばやるべきであろう「法と私情との間で揺らぐ正義」なんてテーマもやりませんでしたし。
結果的に進ノ介の私情が法よりも優先される描写が増えることで、進ノ介の評価が下がるだけになったと思います。
蛮野との親子関係も、上手く描けないのなら入れ込む必要はありませんでした。
特に霧子は後半、剛に対してなんら効果を与えることができなかったので、剛の姉という要素自体不要でした。
そもそも親子としての大前提が描けていないので、剛が親殺しをしてもカタルシスどころかマイナスイメージしか抱けず、実に後味の悪い展開になってしまったと思います。ここには別のアプローチが必要だったかと。
クズな親なら殺していいよっていう倫理観、OKですかね?

<仮面ライダーはこの先どこへ向かうのか>
この「仮面ライダードライブ」という作品は、去年よりはマシだったけど、かといって去年よりいい作品ではなかったです。
私の中でのレベルでいうとどっこいどっこいでした。
ただ、鎧武よりは断然まともにヒーローしていましたし、物語のつくり方はマシだったと思います。
鎧武と比べられるのは不快だという方もいると思うのですが、テーマのなさとか結末とか矛盾の多さとか、全体で見て似ている部分が多いと思います。
似ているというのは、つくりではなくベースの部分ですね。
全く何も考えがなく、その場のノリと勢いで物語作りをすればいいかぁ、みたいな安易な考えしか感じられない展開というか、確固たるヒーロー像があり、それを表現しようという熱意が感じられないところ。
「こういうのが好きだろ?」「こうすれば喜ぶだろ?」みたいなオマージュとパロディで、雰囲気だけ熱血っぽく、ヒーローっぽく塗り固めているところ。
きちんとした筋道を立てて登場人物の感情が理解できるように描く努力をせず、結末だけ描写して雰囲気で押し切ろうとするところ。
そういう部分はよく似ていました。
脚本の三条氏、プロデューサーの大森氏に限界を感じる作品でしたね。
まさかキョウリュウジャーで指摘した点が、より一層ひどくなっているとは思いませんでした。
少なくとも両名には、「どういったヒーローを描きたいのか」という譲れない理想像を描いてから戻ってきてほしいですね。(本当は長谷川さんと一緒に戻ってこなくてもいいけど…武部も連れて行って!)

今後仮面ライダーがどう向かうのか、この二年間でわからなくなってきました。
次回のゴーストが、果たして真っ当にライダー出来るのか?という不安すらあります。
でも可能性を信じて見守っていきたいと思います。
だって寺生まれのTさんだし。Tさんなら…Tさんならきっと何とかしてくれる…!!
期待してますゴースト。


※総括感想(その2)に続く→




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