総括感想(その1)の続きとなります。

個人的に感じた問題点を個別に記載しています。

<続く>

<問題点>
・主役カメレオン問題
初期と中期、後半のキャラが違いすぎると思います。
スカした野郎かと思いきや、人情派だったり熱血刑事になったり、急に敵に味方したり、一体泊進ノ介がどういう人物なのか、今一つ最後まで掴めませんでした。
最後までサボり続ける癖が抜けないというのも、早瀬の激励を無に帰す行動だったので、そこは徐々に直していくべきだったと思います。早瀬を怪我させたショックでやる気が出なかった、っていう初期設定じゃなかったっけ?
常にサボり魔にしか見えなかったけど…

・ロイミュ絶対許すマン問題
「悪の親玉がすべて悪い」という結論は、実に問題がありました。
三条さんは敵側のドラマが魅力的と称されますが、敵側に入れ込むあまり罪を犯したキャラクターを無罪扱いにするのは、ヒーローものとして問題が大きすぎます。
例を挙げれば、ハートは蛮野・クリムの両名を殺し、ロイミュードを先導しGFを起こし、甚大な被害を及ぼしたにもかかわらず、作中では「蛮野のせい(要約)」として無罪判決を受けたのと同等の扱いをされました。
すべて原因が悪いので、犯罪行為を行った人間(または機械)は罪に問われないというのはあまりにも暴論すぎます。
その理論だと、少年犯罪の原因は親にある、親が有責、子供は無罪という理論になってしまいます。普通は罪を犯した人間が有責ではないでしょうか。
罪は罪として反省の意、または贖罪を行うのであれば解りますが、それもなくヒーロー側が敵を受け入れる展開というのは衝撃的でした。

このテーマはゲキレンジャーでも扱っていましたが、あちらはちゃんと彼らなりの贖罪が描かれており好印象でしたね。
ゲキレンはバックに存在する悪=ロン(蛮野的立ち位置)がしっかりと機能しており、そのおかげもあってリオとメレの改心を許容する地盤が出来ていました。
リオを常に裏で導いていたという描写があるため、リオの行動が操られた結果という印象も残り、情状酌量の余地が生まれたと思います。
しかし、ドライブはそもそもハートが自身の経験により(バックに蛮野がいたとしても)自主的にGFを起こしたという経緯がある以上、蛮野は行動の起点でしかなく、ロンと立ち位置は似ているのにロンと同等の働きはできないという、ロイミュード側にとっては無意味な存在になっていました。
作中でももっと早くから蛮野が「絶対の王」としてロイミュードを導いているという描写があれば、ロイミュードに対する印象も大分変わったかもしれません。
ロイミュードが獲得している感情はすべてコピーデータで、蛮野の意思に従って動くだけの機械人形であったが、後半それを知った彼らが「初めて獲得した自らの意思で」蛮野に反旗を翻す…という展開ならば、ハートたちの立ち位置も心変わりも、もっと納得できるものになったと思います。

また、進ノ介がなぜ一人でロイミュードを許す判断をしているのかもわかりませんでした。
お前国民の代表なの?それ早瀬の前でも言えんの?という疑問はぬぐえません。
そしてそれを諌める人間がそばにいないことも理解できませんでした。
剛が少しその役目を担いましたが、すぐに折れましたし…
進ノ介は法治国家の尖兵である刑事の職務にありながら、私情で判断することが多く、その判断基準が進ノ介任せだったため、倫理観に問題があると言われたのではないかと思います。
刑事が私情を持つことは悪くないのですが、普通はそれを諌める相手が登場して初めてドラマとして機能します。
しかし、ドライブはそういった意見の対立からは完全に逃げの一手を打っていました。それは剛と進之介の二人の意見の違いがうやむやにされてしまった点、チェイスと剛の対立が最後の最後でしか消化されなかった点からも明らかです。
対立はドラマを生みます。そしてお互いの立ち位置を明確にし、互いの主張の根源を明らかにします。
ただ、そこから逃げたドライブには、もはや一元的な視点を肯定するだけの機能しかなかったのだと思います。

上記の問題が最も問題が顕著に表れたのは、メディックを庇った一件だと思います。
以前も説明しましたが、あの時点で(というか最期までだけど…)メディックはあくまで仲間意識としての愛を表現しただけであり、人間と相いれようとはしていませんでした。
しかし進ノ介は「なぜか」それに「何らかの」可能性を見出し、メディックを庇うという行為に及びました。
これについてはハートも同様に、謎の理論で向き合っているシーンがありました。
問題は「なぜか」「何らかの」が説明されていない点にあります。
例えば、メディックが人間を愛し、人間を庇ったなら理解できます。これは反対組織(人間)への理解や共感が生まれているという解りやすい例だからです。
しかし、メディックが仲間(ハートだけ)を想い行動することは、なんら人間側にとって利点のない行為です。
それの一体どこに、進ノ介が何を見出したのかが明確にされませんでした。
普通は行動には理由があるはずですが、その理由が抜け落ちていました。あえて理由づけるなら「後半ロイミュードが被害者として許される地盤を作るため」でしょうか。
さらに、それ以降も他のロイミュードは無慈悲に破壊していたため、「メディックだけを贔屓している」という印象が残ってしまったように思います。
ここで他のロイミュードを倒すことに抵抗を覚えていたら、メディックを通しロイミュード全体へ目を向けているととれ、進ノ介の行動はまだ納得がいきましたが…
前述したように行動に起承転結がないため、「理由なき私情による行為」と判断するしかない状況でした。

このように理屈で説明できない、筋が通らない行動がたびたび見られたことから、進ノ介の判断が私情に走りすぎていると判断されたのではないかと思います。
刑事という職務上、私情を優先するという行動が悪目立ちしてしまい、「進ノ介が理解できない」という状況に陥った方がいたのではないでしょうか。
後半の進ノ介の行動に理屈が上手くつけられた、もしくは意見の対立をきちんと描けたのなら、ドライブの印象はまたガラッと変わったのではないかと思います。

・相棒大杉問題
進ノ介が相棒と呼ぶ対象が多すぎて、「相棒」という言葉が安っぽくなり、ただの便利な記号と化していたのが大きな問題だったと思います。
考えるだけでも早瀬、ベルト、霧子、場合によっては剛、現八(初期に同課出身のためそのようなことを言っていた)と、多すぎると思います。
Wが「相棒もの」として成功したのは、ひとえに翔太郎とフィリップの二人の絆に焦点を当てていたからだと思うので、ドライブも相棒はベルト一本に絞って、霧子は所長ポジでよかったんじゃないかと思いました。若しくは相棒は霧子、ベルトは司令塔ポジションならグッと引き締まったのかも?

特に早瀬に関しては、進之介の動機づけとなる重要な人物であるにもかかわらず、初期段階で進ノ介がライダーとして戦う決断をする意向はほとんど出番が無くなります。
進之介にとって、早瀬はその程度の「相棒」だったのかという印象が、全体的な「相棒」の安っぽさにつながってしまった気がします。
もうちょっと早瀬の使いどころを上手くやれば…と思いました。
初期だとうっかり殉職してるとばかり思ってたんですけどね。生きているが故に使いづらいというのも皮肉なものです。

・秘密主義杉問題
ベルトさんが秘密主義すぎて問題を起こしていました。知ってたんなら言えよ。
いっそのこと、作中で「転送に問題がありデータの一部が欠損している」と明言されれば、問題がなかったと思いますが…
途中、欠損データを回収する回があって「すべて思い出した!」とかやればよかったような気も。

・ぽっと出即回収問題
伏線?の回収速度には参りました。
これはキョウリュウのころから問題として指摘していたのですが、思いついたことを前フリなく出してくるので、常にテコ入れのように見えて困ります。
元々決めていたならもっと前からネタをちりばめることもできるし、気づかれない程度に触っておくのが脚本や演出、Pの腕前だと思うのですが、ドライブはそういうことがほとんどなかったです。
1クールごとにテーマが違うと言われればそうかもしれませんが、一応繋がってる作品なんだし、決まってるんならもっと丁寧に前フリをしておいてほしいですね…親父のネタも1,2クールで定期的に単発親子ネタ(もちろん現さんを絡ませる)などでフリをしておけば、ぐっと良くなったと思いますが。
新要素が常に出てくるもんだから、後半の怒涛の説明台詞にはついていけませんでした。
見直すほどの魅力もないから余計にイミフになる負のスパイラルに陥っていて、後半はwikiを活用することも多かったです。
結局、ハートの戦えば戦うほど強くなる(フェニックスさん的な意味で)は、どうなったんでしょうか?

・ご都合主義問題
001における特異体質のご都合主義っぷりには、ほとほとがっかりしました。
特に剛の「俺も特異体質だったみたいだぜ!」にはズッコケました。
超推理はライダー名物なので許せても、乗り越えるべき壁に対して、チートを使ってクリアするっていうのはものすごく萎えます。
チートでの解決には、登場人物の努力や苦労というものが存在せず、物語を作成する側の采配のみしか存在しません。
どんなに強い敵が現れようと、作者の考え如何で解決するというのは、あまりにもキャラクターをないがしろにしすぎています。
私が仁良編で限界を迎えたのは、この物語はキャラクターのものではなく、作者の思い通りにキャラクターが都合よく動かされているだけだ、と明確に提示されたからです。
私は「俺の考えたカッコいい仮面ライダー」を観たいのではなく、どんな苦悩や障害にも諦めることなく立ち向かう、不屈のヒーローを見たいと思っています。
カタルシスのある奇跡やご都合主義なら否定しませんが、こういう展開のためだけのご都合主義には問題があると思います。

・適合者資格問題
結局ライダーに選ばれる資質とはなんだったのか?それが明かされぬまま終わってしまい、残念です。
結構早目から「なんでだろう」という疑問を持ち続けていて、冬映画以降にきっと明かされるに違いないと思っていました。が、そんな期待は無に帰しました。
ここ最近のライダーだと、「サバトに巻き込まれて魔物を体に宿したから」「ベルトを偶然拾ってしまい利用者として認識されたから」という理由でライダーの資格を得ていました。(フォーゼの変身者は限定的じゃなかったはずだけど、状況的にアレしかないという描写だったのでOK)
これはどちらも納得がいきます。
なぜかというと「ライダーは彼でなければいけない理由」が描かれているからです。
しかし、ドライブはそういったことがありませんでした。
皆は「進ノ介じゃないとダメ」と言いますが、「どうして進ノ介じゃないといけないのか?」という回答には制作側含め誰も答えませんでした。
「気力、体力ともに充実した不屈の精神を持つ男」なら他にもいそうです。
「001に対する特異体質」はたくさんいました。
「正義の心を持った青年」は刑事ならいっぱいいると思います。
殉職した父親絡みでしょうか?でもそうであるとは明言されませんでしたね。進ノ介を推した理由ではありそうでしたが。
はたして彼が刑事でなくても、本願寺は進ノ介を推したのでしょうか?
クリムの死後、15年間にライダーの適合者は現れなかったのでしょうか。
15年現れなかったからクリムはプロトを作ったとしたら、あの短い半年間で進ノ介を選んだ理由が何だったのか、一層理由が必要になります。
本編中には、進ノ介でなければいけない、そういう理由がありませんでした。
結果論だけでゴリ押しされて、その結果に至るまでの経緯といったものが一切出てこなかったので、疑問に思う視聴者にはずっとしこりとして残ってしまった形でした。
だから進ノ介のライダーとしての正当性に疑問符が付き、後半剛やチェイスに喰われてしまったのではないかと思います。
仁良編で描写すべきだったのは「彼がなぜライダーになったのか」という、因縁もしくは正当性だったのだと思います。

これは他のキャラにも言えて、なぜ霧子を選んだのか、なぜりんな、究を選んだのか?そういうところは本編では触れられませんでした。
触れないせいで、霧子に至っては「プロトに助けられたから」なのか「蛮野の娘だったから」なのか、どちらを選んでも疑問が残る形になっています。
(プロトに助けられた→偶然助けただけの相手をそのまま採用する理由と経緯が謎。霧子が押し掛けたのか?ベルトがあの接触だけで霧子を選んだ意味が解らん。ベルトだけになったクリムを拾ったならまだわかるが。
蛮野の娘→ロイミュードが蛮野の産み出したものと理解しているのに、その娘をあえて父親と対立させる組織に組み込むのが謎。普通の人だと思いやりで外すよね?霧子自身も剛のように「父の過ちを正したい」って思いはなかったみたいだし…)
彼らの経緯は、シークレットミッションという、オマケでやってはいけないネタでしたね。
この基準をクリアしてるのは剛とチェイスでした。つくづく剛が主役なら違う物語になったと思います。

・現八の謎
子煩悩で、子供の写真を持ち歩いているが他人にそれを見られるのを嫌がるという初期設定ではなかったかと思いますが、アレはどうなったんでしょうか?記憶違い?
途中、完全にりんなとフラグが立っていましたが、既婚者設定がどうなっているかが気になって仕方ありませんでした。
既婚者にしていなければそれはそれで物語になったと思いますが…
最後をぼかしたのは、既婚者設定を忘れていなかったからですかね?
細かい設定ですが、こういう曖昧さが全体の問題につながっていったような気がします。
キャラの基本はガチガチ、だが成長性は残して、ストーリーは緩めに設定するのが上手くいくコツではないかと思いますが…

・脚本・設定の練り不足
脚本については、ド素人の私が見ても「これは問題がある」と感じる物語がいくつかありました。
特に仁良の告発編は時間軸、状況、対応、どれをとっても矛盾しかなく、これでよく脚本打ち合わせが通ったなと思ったぐらいでした。
刑事ものという大前提がある以上、培った刑事もののセオリーを踏襲した筋の通る流れにすればいいのに、なぜかやりたいこと優先の俺ルールで脚本が進められていた部分がありました。
前述の刑事ものが足かせになっていた点は残念です。
あんなコロコロ死んだり生き返ったり犯罪者になったり無罪になる警察官を、誰が信じられるんでしょうかね?
ああいうのは一度だからインパクトがあるんですけど…同じことを何度もやってしまうあたりも、アイデアの貧弱さ、枯渇が感じられました。

設定については、物語の根幹となるグローバルフリーズについて、明確な被害状況などを提示しなかったことが一番の問題でした。
そこが曖昧なせいで、市民の立ち位置も警察の立ち位置も中途半端になったと思います。
市民にとって重加速がどれほどのトラウマなのか、それに対する警察の態度は問題にならなかったのか、何となくはわかるけどふんわりしていました。
001が記憶を改ざんしていたとしても、市民までには及んでないでしょうし…一人ぐらい、GFで家族を亡くし、いまだに続く重加速におびえながら暮らす人や、警察の適当な対応に怒りを覚える人がいても良かったのでは?と思います。
そこにロイミュードが人間と共存する可能性を見出す話を絡めたら、のちの布石にもなる話が作れたのでは?と思いました。
ドライブは一番必要な設定がなぜか曖昧なことが多かったのですが、それはある種の振れ幅を設定に持たせておこうという意図があったのかもしれません。
設定がどちらにも転ぶようにしておけば、流れに応じて「AはBだった」と路線変更が可能だからです。
しかし、GFは敵と戦う根幹を担う設定なので、そこはきちんと明確にすべきだったと思います。
たしかにGFの被害が曖昧なせいで、ハートたちが許されてもおかしくないっぽい雰囲気はできてたんですけど、それはやっちゃいけなかったような…
シフトカーの人格設定もどこからその人格が来ているか謎でしたし、ちょっととってつけた感のある設定が散見されたのも、練りが甘いと感じる要因だったのかな、と思いました。


ただ長いだけであんまりちゃんとした考察にはなってないかもしれませんが、これにてドライブの考察は終了したいと思います。
欠落している、間違っている部分などがあれば、ご指摘いただけますと幸いです。