※映画感想です。ネタバレあるので注意してください!

割と渋めな感想です。


<続く>


・総括
個人的には映画の内容はう~~~~~んって感じでした。
これが最後と言われてあまり納得いきませんでしたね。「一線」も「一線(笑)」だったし…
靖子…忙しかったならあと1年後とかに書いてもよかったんやぞ…?っていうか監修じゃなくてやっぱ書くべきだったと思う。本当に監修したのだろうか…?
なんかすごく違和感があったというか、シーズン2がなかったことになってるのかな?って思いながら見てました。
4DXは面白かったです。動く!風が吹く!水が飛び散る!みたいな。映画に集中はしづらいけどw
映画×アトラクションもなかなかに面白いなと。一つ不満と言えば匂いが一つぐらいしか種類がないことかな。
正直、4DXを体験できたのが一番の収穫だったかもしれんw

・これが仮面ライダーか、否か
アマゾンズが提示したものって、確かに「仮面ライダー」の根本的な概念の一面でもあるな、と映画を見て思いました。
「正義と悪」で片づけられないグレーゾーンの対立、暴力による決着、互いが信じる「歪な正義」。
後発の戦隊ヒーローがオミットした、代理戦争的な要素が取り込まれたのがアマゾンズだったのだなというのを改めて感じました。
初代が世相を反映してあのような形で表現されたのを踏まえると、確かに当然といえるのかもしれません。
正義のヒーローとは一言で言えない薄暗い部分。徐々に注目されるにつれ光に追いやられた闇の部分をピックアップしたというのが、Pの言うところの原点回帰ということだったのでしょうか。

あと、やはり初期の「仮面ライダー」のイメージで描くうえで大事なことは、「仮面ライダーを描くために世界を歪めない」ことなんですよね。
仮面ライダーはあくまで「異形」であり、世間一般に広く認知されない闇の存在であるほうが描きやすい。
いわば裏路地でのもめごとのような、世間の関心を買わないことで成り立つ部分をうまく生かした物語だったと思うんです。
(初代は途中で世間の関心を逆輸入して方針転換しましたけども…)
アマゾンズはあくまで知っている人しか知らない、隔離・隠蔽された世間の出来事として描いているので、無駄な矛盾や詮索がなくてすんでいるように思います。
この特徴は原点回帰主義で作成された平成ライダーの初期作品にも見られますが、世界観を広げないことで、登場人物のいる世間を密室化するというのは上手いですよね。

上記二点についてはシーズン1・2を通してやっていたことなので、今回だからピックアップされたことではないですが、改めて。

・悠の功罪
前回、シーズン2では悠の考え方に成長が見られたと思っていたのですが、映画では退化したように感じました。
シーズン2ではアマゾンと人間の棲み分けを推奨し、棲み分けが乱れた際のケツモチをするという役目に対しての責任感、また、自分が決断をしなかったことで生みだされた新しい悲劇に決着をつけるという強い意思を感じたのですが、今回の映画はシーズン1のラストのような、中途半端な理想主義的な思考回路に回帰しているように感じました。
食肉になるため囲われているアマゾン達に「生きろ」と聞こえのいい言葉を並べ立て、過去同族がどのような末路をたどったのか見ているはずなのに伝えず、解放された彼らの未来にも責任を負わない。
悠はこれまでに理想論だけでは処理しきれないリアルに向き合っているはずだし、何をすれば問題が解決するかという俯瞰的な視線もコネも持ち合わせていたのではないかと思っていたのですが、今回は直情的で短絡的な行動が目立ち、物事の解決に何ら寄与しなかったというのが理解できませんでした。
アマゾン牧場の是非は別として、悠のやったことは、閉じられた世界で平穏に暮らすはずだった彼らを死から救う代わりに、もっと非道な生を与えただけなのでは?
シーズン2で千翼がイユにしたように、ある種の正義とはいえエゴイスティックな行為だったとは言えないでしょうか。
シーズン2では止める側だったのに、映画ではそういう経験がまるでなかったかのようなふるまいなのは違和感ある…
最後、入水自殺をするときに、美月の幻覚を見たのは、自分を肯定してくれる美月を利用して生きる言い訳をしているだけな気がします。
そうじゃなくて、せめて生き残った草食アマゾンの始末をつける程度の覚悟は持って生きながらえてほしかったなぁと…言い訳をつけて生き延びてほしくなかった。それが69を食べてでも生き残った悠の仕事なんじゃないのか。
アマゾンと人間のハーフとしてデザインされた命である悠だからこそ、何かもっと違う解答を出してくれるのではないかと思っていたのですが、残念です。
個人的にはシーズン2の、きちんと成長した悠で映画を見たかったですね。

・伝説のヒモ
相変わらずブレずにアマゾン絶対殺すマンだった仁さん。
自分の本心を七羽さんの幻覚に吐露しながらもアマゾンを殺す、そういう姿勢がそのままだったのは良かったです。
でも最後の悠との対決では、なぜか死に急いでるような感じにも見えました。
今までの仁さんから感じられたのは、アマゾンを殺す、そして自分が最後に死ぬという目的を完遂するための執念であり、死んで責任を放棄するという感情は見えてこなかったので違和感がありました。
セリフが聞き取りづらいというのもあったのですが、あの状況で仁さんが死んでよかったんでしょうか?後始末は悠につけられるのかな?(多分無理)っていう。
人を殺したから、アマゾンを生み出す道具にされていたから、メンタルが弱ってたとか?
まぁでもシーズン2までに見た鷹山仁とはちょっと違うような気もしなくもないというか、詰めも甘いし狩りの優先順位もあまり納得いかない感じはしました。
別に人間でもなさそうな変身できる人間(自称)を殺したところで、おめーに責められるいわれはねーよって感じだったしな…仁さんがやらなきゃ絶対悠がやってたでしょうよ。
「鷹山さんだぞ☆(違」は面白かったです。

・水澤家の人々
美月はホント居てもいなくてもいいヒロイン?だよねえ。
そもそも悠の中では重要度低いっていう。
最終的に美月が愛玩対象を悠から81に変えたというのが皮肉というか、その程度なのかぁと思ってなんかちょっとね…
いつ見てもブレてて、最後まで「覚悟?なにそれおいしいの?」みたいなメンタルなのは凄いとは思うけどw
結局最後にあの場にとどまることを決めたのは、悠が返ってくる場所を残したいっていうより、人間(アマゾンだけど)を食べた悠を拒絶して、まだ穢れのない草食たちを愛でようっていうのが無自覚に表れてる気がして、それでいいのか~みたいな感じでした。
そういう考えに帰結したのは、アマゾン達の惨状を見て、それでも悠は悪くない、彼らとは違うと思い込みたいあまり、肉を食べないアマゾン達に救いを見出して、本来の目的だった悠を見失ったからかな~?とか思いましたけど、穿って見過ぎなのかもしれませんね。
でもあの親にしてこの子ありだと思います。

水澤母にはあえて言わせてくれ。BBA引っ込んでろ。
アイツとジジイは何かしら天罰受けてほしかったわ…高笑いしてんじゃねえぞ(殺意)
あの二人こそアマゾンに喰われて然るべきなんだよなあ。
元凶が罰されることを求めてるわけじゃないんですけど、あまりにノーダメージ過ぎて後味が悪すぎる。
結局何もわかんなかったし、何も解決せずじまいだった…なんだったんでしょうね、アマゾンって。

・4Cと駆除班
4Cのフォーメーションがクソ過ぎてホント泣くwww
でも本編も思い返せばまぁまぁ被害甚大だったか。相手悪すぎだったけど。
良い人材はほとんど2で死んでるからね仕方ないね。
黒崎さんはカッコよかったです。シーズン2のラスト?忘れろ、みたいな好戦っぷりでしたがね…
しかしアマゾンの返り血浴びまくりでちょっと心配だった。シーズン2のラストで溶源性細胞にり患したのではとか言われてた気がするけど、どうだったんでしょうね。
駆除班はあのおんぼろトラックで4Cを撒くフクさんのドラテクマジスゲェっていう印象でした。
駆除班側もシーズン1のラストに戻っていたような気すらする。
色々あって、マモちゃんのケジメを付けた後だったけど、煮え切らんというか中途半端な気がしないでもないというか。

・語られなかった千翼
「シーズン1終わりっぽい」と散々言ってますが、千翼の「ち」の字も出なかったせいもあるのかもしれません。
むしろシーズン1→映画→シーズン2のほうがしっくりくるような気もする。
局長もあれだけ粉々に折れたとは思えない健康体だったしw
あとは悠の入水自殺未遂で、Aroma Ozone的なものが生成されないか心配で仕方なかったのですが、あのへんの設定が入り組んでて記憶飛んでるので、杞憂だったのかも。

・御堂さん
チェーンソー×マシンガンという、殺すためだけの武器がかっこよかった。
人間なのになんで変身できるのかとか、ベルトはどっから持ってきたのか(局長経由?)とか、仁さんからどうやってアマゾンを生んでるの?とかの細かいプロセスは置いておこう。
雰囲気は実にカッコよかったのですが、仁さんの手枷のカギをすぐ近くの上着に置いているという凡ミスっぷりはいただけませんでした。
しかし、御堂さんもまた「天才・鷹山仁」に人生を狂わされた人物と言えるのかもしれません。
仁さん色んなものの原因になりすぎw因果巡りすぎw

・アマゾン牧場
そもそもアマゾンって死んだら溶けるのに食肉になるの?っていう素朴すぎる疑問には誰も答えてくれなかったよ…
覚醒しなければ溶けないのかと思いきや、覚醒した69は死んでも溶けないという。謎過ぎん?
倫理的な問題はともかく、成長が早いとはいえアマゾンの養殖はリスキーすぎだし、食事が少ないとはいえ教育・住環境のコストヤバそうだし、見た目人間だから絶対抵抗凄いので流行らないし、そもそも素体が仁さんありきってとこで終わってるしで、局長のビジネスセンスの無さが光りすぎててツライw
御堂さんはむっちゃイキってたけど、全然ビジネスとして成立しないと思うんだよな~。
そもそもこんな存在公表したら、今までの1・2での失踪事件とか惨殺事件の経緯が暴かれる原因になるわけで、どう考えても悪手。
まだシーズン2の生体兵器のほうがビジネスチャンスあるよね。
企画段階で粗が半端なさそう…金持ち相手の道楽って断言してたら、まぁワンチャン納得いくかもしれんが。

・Pの思惑
白倉Pって作品を作るきっかけ作りというか、作品を売り出す着眼点は凄いけど、作品に対しての愛はあんまりないのかな。
あくまで商売道具って割り切ってる感がある。というか、一ファンであればこうはしないだろっていう事をやる人だから。
映画は多分、4DXやりたいっていうのと、タイミング的に今じゃないとできないからやったんだろうけど、そこに作品を作り上げた小林靖子がいなくてもGOしたっていうのが物語ってる感がある。
それもまた市場の拡大には必要だけど、時々白倉が横目で見てるニチアサライダーと、裏切り具合がさほど変わんなくなってると思うんだよなぁ…まぁ個人的な愚痴なんですけどね。
でもこういう形で4DXとかに取り組んでいかないと、機会を失うんだろうな。
そういうセンスはやっぱり鋭い。感心するわ。


正直、脚本の名前を見た時点で今回の出来は薄々察していたのですが、まったくその通りになってて笑いましたw
監修入ってたからちょっと期待はしたんだけどね…無理だったか。
やはり直感は裏切らないと感じた今日この頃。

ただ、アマゾンズはシリーズを通して「生とは、死とは、異形とは」っていう、普遍的でかつ語りづらいテーマを提示してくれたことがとても良かったと思います。
平成初期の仮面ライダーの持ち味でもある、正義でも悪でも無いグレーな部分っていうのには、いろんな考え方や感じ方があると思うんですよね。
答えが一つじゃない分荒れるけど、議論するのも考察するのも面白い。
ここ最近のライダーが着手できない部分を、テレビではないメディアだからこそ提示できたっていうのが、評価されるべきところだと思います。
なので、仮面ライダーアマゾンズの最終的な評価は「興味深いテーマの作品だった」でした。
映画の出来はどうかと思うのですが、シリーズ通しては面白い作品だったと思います。




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